「活力」は笑顔と優しい言葉

    

一緒で幸せ--「布施」の心

ひろさちや氏『
般若心経入門』 以下抜粋

「布施」(ふせ)というのは、簡単に言えば

人に 財物・金銭を 施(ほどこ)すことです。

あげる ことです。

しかし、「布施」と「お恵(めぐ)み」は 違います。

「お恵み」は、貰(もら)った人が お礼を言わねばならないものです。

「布施」は、施(ほどこ)した人が お礼を言うものです。

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一つのケーキを 2人で分けて食べて、

そのほうが おいしい と思える心-- それが 布施の心です。

どうすれば、そのような心になれるでしょうか?

簡単です。


わけてあげた人が、相手に、

「あなたが一緒に食べてくださったので、

おいしくいただくことができました。ありがとう」

と お礼を言えばいいのです。


そうすると、ケーキは必ず おいしくなります。

おいしくなる ということは、幸福になれる ということです。

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もちろん、2人にケーキが二つあれば、

それぞれ 一個ずつのケーキを食べると おいしいのです。

ところが、

2人の人間に ケーキが10個あるとしてください。

2人はそれぞれ 5個ずつのケーキを食べねばなりません。

ねばならない のです。



私たちは 経済大国 を作りながら、

何か精神的に 満ち足りない気持ちでいます。

その原因は、心のところにあるのです。

経済的に豊かになれば、むしろ本当の幸福がわからなくなる

--私は そう確信しています。

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『 般若心経(はんにゃしんぎょう) 』 は

本当の幸福は、「布施の心」を持つことによって得られる

--と、われわれに 教えてくれています。

みせかけの幸福ではなしに、

真の幸福とは何かを語っているのです。

その意味で、『般若心経』は、
現代日本人にとって 大事な経典です。
まさに 「現代的」な経典だといえます。

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実行に移した「行動」が一つの「功徳」

ひろさちや氏 『般若心経二六二文字の宇宙』 以下抜粋

『般若心経』が教える 日々の生き方

布施 という言葉を 国語辞典で引いてみると
「信者が僧侶に金銭財物を施すこと」と書かれています。

たしかに、こういった解釈は間違いではありませんが、

本来の意味は、

相手は 僧侶にかぎらず

人に 物を施す 仏道修行のことをいいます。

また

施すものは

金銭にかぎりません。

たとえば 『無量寿経』(むりょうじゅきょう)という経文には

和顔愛語」(わがんあいご)という教えが説かれており

にこやかな笑顔で 優しい言葉をかける

という意味です。

これも 布施の一つです。


苦虫をかみつぶしたような顔をしていると

いつの間にか 周囲にいる人に

不愉快を与えてしまいます。

こういったことから、つねに にこやかな笑顔をみせたり

優しい言葉をかけることも、

『般若心経』が教える 日々の生き方なのです。