土地神の声に 耳を澄ます
藤原肇氏 『賢者のネジ』 以下抜粋
彭栄次(ほう・えいじ)氏
金ありて山河なし
成長 成長と言って、経済成長を ありがたがるが
その半面
自然と人間の心が どれだけ荒廃したかについて
現代人は 考えることを 忘れてしまっているのです
人々は、経済成長がないと国が滅びると思い込み
政治家は その誤解を悪用しているのです。
だが、経済成長の神話からひとたび解放されてみれば
人間らしい 爽(さわ)やかな生活を
楽しむことが 出来るのです。
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平岡敬(ひらおか・たかし)氏 元・広島市長
この社会を貫いている価値観
効率化、スピード、画一化といったもの。
それが絶対的な価値として社会を貫いている。
効率主義というのものは、弱者切り捨てにつながっていく。
社会に役に立たない人間、弱者、
ジャマになる者、そういうものは全部排除していく。
その思想が
核兵器の「皆殺しの思想」とまったく通底している。
今の社会のあり方を是認したまま核兵器廃絶と言っても、
絶対に核はなくならない。
戦争をしなくてもすむ国際社会を、どうやって作るか
核兵器廃絶は理想論を言っている。
人間は理想を持たなくてはならないし、
その理想に近づくために、どう努力するか
生き方の問題だ。
でないと、
たとえ核兵器廃絶してもまた作る人が出てくる可能性がある。
人間が自分の利己的な欲望を自制する倫理を立てない限り、
人間の未来はないということが、
実はヒロシマ・ナガサキの教訓だったのではないか。
神の領域を、欲望を持った人間が扱っている。
人間は倫理性を持たなくてはならない。
それを自分がどう実践するか。
★小泉龍司氏と森田実氏 対談
政治も行政もそれから大きいのは学者とマスメディアです。
これが全くアメリカの言う通りになってしまった。
そして大きいのは広告会社の大元締めが、
アメリカにやられちゃいましたね。
日本の経営体の大きいところはほとんど
アメリカが押さえてしまっているわけです。
日本政府やメディアはその真実を隠してるんですね。
アメリカの利益のために日本を利用し、
搾り取るということをやってきて、
大企業、大広告会社、テレビ、新聞、学者、
しかも政府の審議会の学者はアメリカで仕込まれた人たちです。
役人の上層部、政治家すらも、与党だけではなく
民主党のある部分の政治家すらも
みんなアメリカの顔色を見ながら、
ブッシュ政権の意向で動いている。
とんでもないですね。
反日本的、反国民的な体制を作ってしまったということです。
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森嶋通夫著作集13巻、14巻 以下抜粋
なぜ天皇や、国や、文部省が、
国民一人一人の問題である倫理問題に口出しして
「億兆心を一にせよ」とか
「徳を一にせよ」などと命令するのか。
倫理は命令されて守るものではない。
天皇や政府がこういう態度で倫理を教える限り、
「精神そのもの、あるいは、人間そのものが、それ自体で自由である」
という倫理の根本が、日本人に理解されることは絶対に無い。
私は、天皇ないし政府が 天皇の名において
国民の思想統制(洗脳)をしたことが、天皇制悪の最悪部分だと考えるが、
そのための道具として戦前の天皇制が使ったのが勅語である。
しかもそれは極めて大げさな舞台装置の下で行われた。
式典は、異論を封殺するだけでなく、恐怖政治の手段に使われた。
私の中学時代に、後宮陸軍大将の息子が、軍人勅諭を読み違えて
割腹自殺し、それは美談として報道された。
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開国後 満身創痍の日本を、ヘレンの目で追う
ヘレン・ミアーズ 『アメリカの鏡・日本』
国家神道は、西洋型国家意識の日本版にすぎない。
国家神道は、1868年、西洋の”指導”に応えて出てきたものだ。
近代以前の日本では、
神道は 自然と祖先に対する信仰であり、習俗であった。
軍事的なもの、国家的なものの対極にあるものだった。
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パオロ・マッツァリーノ氏
『反社会学の不埒な研究報告』 以下抜粋
○「働かざる者、食うべからず」は、
明治以降に、西洋文化とキリスト教にかぶれた人たちが
言い出したのです。
○怠惰を罪にしたのは キリスト教と西欧の金持ちです。
○日本人は高度成長期に魂を売った
現在、日本中で鉄筋コンクリート建築が崩壊の兆しを見せています。
小林一輔さんの『コンクリートが危ない』によれば、
そういった手抜き工事のほとんどが、
東京オリンピック(昭和39年)以降の
高度成長期に作られたものだとのことです。
材料をケチり、工期を短縮し、
ただひたすら純利益をあげることにのみ邁進する。
これが高度成長期の「勤勉」の正体だったのです。
どんなインチキ仕事でも、やっつけ仕事でも、数さえこなして
金が儲かりゃいいんだ。
会社は慈善事業じゃねえんだよ――
高度成長期とは、
職人気質がカネの力に負けた
悲しい時代でもあったのです。
○事実はひとつ、解釈は無数
江戸時代の町人たちは、経済発展などとは無縁でも、
適当に楽しく暮らしていたのです。
町人どころか武士でさえもろくに働いてはいません。
鈴木淳さんによると、
幕末の武士の勤務時間は10時から2時までで、
しかも間に昼休みが1時間。
驚くことに、明治維新後も中央官庁の役人は、
同じ勤務シフトを明治19年まで続けていたのだそうです。
★ ビル・トッテン氏『日本は略奪国家アメリカを棄てよ』以下 抜粋
日本のほとんどの大企業経営者は、
自社の影響力、つまり金銭の力を利用して政府に圧力をかけ、
自分たちの短期的な利益や株価を上げることに躍起になっている。
アメリカの経営者とまったく同じだ。
高度成長期 松下幸之助や本田宗一郎、井深大といった
日本を代表する経営者は、
「商人」というよりも、「職人」だったと思う。
この時代の経営者は、
神道、仏教、儒教、そして武士道の教えを受けていたから、
利益のみを追求しようとする現在の経営者とは、明らかな違いがあった。
しかし、高度経済成長期を過ぎる頃から再び、
経営者の多くは「商人」や「金融家」となってしまう。
その要因は、アメリカ主導の戦後教育に負うところが大きい。
(森嶋通夫氏 :戦後の日本に、アメリカ式教育が強制的に導入され、日本人の精神の荒廃をもたらした。日本人にとって道徳を尊重する必要が無くなり、教育の高さは、知識の量だけで判別されるようになった。占領軍は それまで支配的であった日本型儒教から国家主義的な要素だけを取り除けば良かったにも拘わらず、儒教そのものを捨てさせた。たらいと一緒に赤児も捨ててしまったのである。日本の指導者達が多くの経済犯罪を犯し、事実が次々確認されている。このような社会で 日本における民主主義とは、すべての思想的行動を排除するということに堕落してしまった。
そして現在では自分の思想さえ選べないという不毛さが社会に瀰漫(びまん)しているのである)
中小企業の経営者やそこで働く人たち、農家、職人、商店主の人たちに、
私からエールを送りたい。
彼らこそ、日本経済、そして日本社会の中心であり、魂だと思うからだ。
私たちに日々の糧(かて)や住まい、
衣服、家具、靴などを提供してくれる農家や職人、
商店主たちを応援したいし、彼らにもっと頑張ってもらいたい。
彼らから、もっと多くの日本のリーダーが出てきてほしいと願っている。
★ 早川和男氏 やる気 「想像力と創造性」を萎えさせない
思考方式の人間は、独立・自負の精神がなければ成立しない。
現実は、権威従属・権力追従・集団帰属志向・孤立苦手型人間が多い。
こういう状況のもとで創造的研究に取り組むには、
集団主義から脱し、孤独に耐えうる強靭な精神力が不可欠となる。
主体的で、権力・金力に従属しない学者・知識人
(本当の意味での)職能人・専門家が少しでも増えることが、
この日本をよくする基本的条件の一つと考える。
ものを考える力をつけることが、抵抗力につながる。
ヒットラーやスターリンのようなものが出てきて破局を迎えないためには、
予兆を感じ取って、本質的な転換を図ること それが今、求められている。
★ 吉川元忠氏
どんどんグローバル化を進めていった場合、
日本はアメリカの亜流のような国になるでしょう。
アメリカに対抗できる思想体系を日本は持たなければならないと思います。
哲学や思想、そして『万葉集』や『源氏物語』といった
文化から民族の歴史までをも含めた巨大な思想体系、
あるいは経済思想の体系がなければ、だめだと思うのです。
国際政治学者のジョセフ・ナイは、
自国の価値観を他国にとって望ましいと感じさせ、
協調を生み出す力を「ソフト・パワー」と呼んでいます。
日本のソフト・パワーは何かというと、
それは半導体やデジタル技術などではなく、
先ほど言ったように、最後は思想だと思うのです。
誰かがやらなければ、
アメリカ流のグローバリズムに世界は呑み込まれてしまいます。
日本がアジアに訴えるにしても、
最後はそういう思想が問われることになると思うのです。
★ アニミズム 存在の糧
中村元氏
「宗教」はもともと仏教の言葉であり、「宗」と「教」とは違う。
「宗」というのは、もとのもの。
これは言葉では言えない言語表現を超えた根本のものである。
それを人々に説く時に「教」になる。
「教」は、時によっては 不適当になれば変えてもいい。捨ててもいい。
けれど、そのもとのもの、これを無視してはならない。
梅原猛氏
日本の場合、何かそのもとにある「宗」と、
出てきた教えとは、だいぶ違っている。
もとにあるものは、日本人の生活に溶け込んでいて、
それは必ずしも言葉や思想として表現されない。
それを大切にすることが一番大事だと私も思います。
★ Farooq KathwariCEO, Ethan Allen Interiors Inc. Online NewsHour
When you climb to , 20,000 feet,
if you go too fast, you can get water in your lungs and you die.
So globalization is that kind of a change.
You're going up a mountain.
And if you go too fast
-- and, unfortunately, today, around the world, we see a lot of changes are being made fast -- people are getting water in their lungs. And, you know, a lot of them, unfortunately, are dying because they are also not understanding another factor of a mountain:To save yourself, you've got to come down.
American manufacturers, American industries, have closed their plants too fast. It is like pruning that tree. And what they've done is, in many cases, they have killed the tree.
So we don't want to kill our tree. (H.D.ソローが語る内容を思い出す)
★ ウェンデル・ベリー(思想家)の言葉 再掲
グローバルな考え方をする人というのは、世界を ただ抽象的な数字によってとらえているだけである。政治家や実業家はとくにそれが上手で、彼らの抽象的な考え方や貪欲さは、常に”破壊”をもたらす。
正しい行い・生き方とは、アレグザンダー・ポープの言う「土地神」に受け入れられるものでなければならない。これには 地域の知識 地域の技術、そして、グローバル志向の人間には無い”地域への愛”が必要だ。(南方熊楠氏と重なる)
★ ★ (閑吟集)1518年 ★ ★
ただ人は情けあれ あさがほの花の上なる露の世に
人というものは ひたすら情を持っているほうが良い。
朝咲いて、昼にはしぼむ朝顔の 花の露のように
はかない世の中に生きているのだから 『日本古典への誘い100選Ⅱ』