砂上の楼閣から脱出する

未来への提言として、『国富消尽』を取り上げる。

米国産牛肉輸入量が2倍強に急増、月間4000―5000トンとなる見込みだ。
食品業界 からの安易な輸入再開に反対した松岡氏の自殺 more
これを念頭に置き、食品に関しての提言箇所を抜粋した。

吉川氏は、日本人の思想体系の重要性を説いている。
江戸時代、日本人はフリーターだった で取り上げた
パオロ・マッツァリーノ氏の言葉
『心と知識が暴走するのを防ぐのが、思考力です。
思考力の訓練がすっぽり抜け落ちていることこそが、
日本の学校教育の最悪の欠陥なのです。』とリンクする。

    

国富消尽』 以下抜粋

関岡英之氏

米国が相手の国に何か要求するときに活用するのが
「トロイの木馬」戦術です。

日本国内で米国と利害が一致する著名人なり団体なりを見つけ出し、
徹底的にテコ入れをして、米国の要求を「日本の必要」として代弁させる。
つまり、”広告塔”として利用するというものです。

米国はそういう勢力を
「ドメスティック・アライズ国内の同盟者」と呼んでいます。

テレビや新聞で、「M&Aは日本経済を活性化する」
「いまどき外資脅威論は時代錯誤」
「外国人投資家に見捨てられたら日本はおしまい」
といった考えを広めようとしている人をよく見かけますが、
そういう論者もあるいは「トロイの木馬」なのかもしれない”と
疑ってみるべきだと思います。


「日本の消費者のためになる」「これは日本の国益にもなる」
などという米国の恩着せがましい言い草は、
米国が日本に内政干渉するときの常套的なレトリック
ですから、
聞き流せばいいのです。

日本構造協議で米国が要求したとおりに大店法を廃止したおかげで、
全国津々浦々の商店街が”シャッター通り”になってしまった。

米国の「消費者のため」というレトリックと、
「トロイの木馬」戦術に振り回され、
完全に向こうの轍(てつ)にはまってしまった。
-それがここ20年の「失われた日本」の本質だと思います。

BSE問題になると、
米国は「日本の消費者の味方」という仮面をあっさり脱ぎ捨てました。

「コストがかかるから検査はしないが、問題ないから黙って牛を買え」

それこそ消費者無視の身勝手な生産者の論理そのものです。

戦略物資でもある食糧の輸入についても、対米依存度は安全保障上、
危険水域といっても過言ではない状況です。
完全に生殺与奪(せいさつよだつ)の権を握られています。

食品の安全面からも、米国一国に過度に依存するのは
主権の存立に関わる問題だと
認識を刷新することが必要ではないかと思います。

アングロサクソンだけが「競争、競争」と口うるさく迫ってくる

一見、今は
米国の軍事力と経済力で、
米国的な価値観が世界を席巻しているように見えますが、

実はそれは
アングロ・サクソン側が大変なコストと周到な戦略で
築き上げ維持している砂上の楼閣
ではないかという気がするのです。

極端な「勝ち組」も生まない代わりに
極端な「負け組」も作らないことで社会の秩序と安寧を保ちながら、
共同体全体の幸福を追求するという価値観は、
世界的には圧倒的多数のものではないかと思うのです。

もともとアジアは、アラビア半島、インド洋、
東南アジアから東シナ海 まで一体となって交流していた。

それがバラバラにされたのは、欧米の帝国主義がアジアに侵略し、
分断統治するようになって以降のことです。

欧米諸国、特に今、米国が一番恐れているのは、
アジア人が大同団結すること

「個人対個人なら、米国人は日本人に勝つことはわけもないが、
集団対集団、組織対組織となると勝てない。
なぜなら米国人は、集団になると 誰もが内輪でリーダーシップを争い、
あるいは功を競って足を引っ張り合い、気が付いてみると 
集団で結束してことに当たる日本人に水をあけられている」

おそらく米国は、そのことを日米通商交渉のなかで学習したのでしょう。


そして日本人の集団主義に楔『くさび』を打ち込み、
個人主義という自分達の土俵に
引きずり下ろそうと考えたのではないか。

バブル崩壊のあおりで日本人が自信を失いはじめた時期、
米国の経済ジャーナリズムや日本経済新聞などが中心になって、
終身雇用や年功序列といった
日本的経営に対するネガティブ・キャンペーンが始まりました。

その結果、日本的雇用慣行が崩れ去り、リストラである日突然、
街頭に放り出されるようになりました。
さらに日本企業は、
米国系コンサルティング会社のセールス・トークに踊らされ、
こぞって「成果主義」という米国流の人事評価制度を導入しました。

成果主義では、チームワークではなく、
あくまで個人の貢献度が競わされます。

日本人が個人主義へとどんどん傾斜していき、
その最大の強みであった集団への一体感と忠誠心を失っていく。
孤独な個人が刹那主義に陥り、
世の中の出来事に対する当事者意識を失い、
外資に支配されて何が悪いという、
誇りなき時代精神を醸造している。
未曾有の国難といっても過言ではない、
国家の浮沈に関わる事態です。

今日の日本の国力の衰退の真因は、
まさにこの一点にあるのではないでしょうか。

この惨状から立ち直るには、米国的価値観への迎合から決別し、
我々の父祖たちが築き上げてきた歴史と伝統の価値を再発見し、
日本人が自信と誇りを取り戻す以外にありません。


ちょっとブレイク

同じ視点で、森嶋氏も警鐘を鳴らしていた。
森嶋通夫著作集13巻、14巻(以下抜粋)


戦後の日本には、アメリカ式教育が強制的に導入されたが、
このことが混乱をもたらした。

と言うより、日本人の精神の荒廃をもたらした。

占領軍は それまで支配的であった日本型儒教から
国家主義的な要素だけを取り除けば良かったにも拘わらず、
儒教そのものを捨てさせた。

たらいと一緒に赤児も捨ててしまったのである。

本人にとって
あまりにも無縁なアメリカ型個人主義を押し付けられた結果。

それは、「自分自身の良心に忠実でもなく、身を処するに厳格でもなく、
嘘もまた方便であると考え、
利益を得るためには人におもねって当然と考えるような、
倫理的自覚に欠けた土着的共同社会..」

新しい日本人は、
”自分勝手に自分の利益を追求する”
のが新しい生き方であるということの他は、

いかなる道徳的思慮もほとんど無い人間になってしまったのである。

日本人にとって道徳を尊重する必要が無くなり、
教育の高さは、知識の量だけで判別されるようになった。


日本の指導者達が多くの経済犯罪を犯し、事実が次々確認されている。

このような社会で、
それぞれ自己の理念を持つ諸政党の中から
一党を選挙で選ぶという意味の民主主義が生まれなかったのは当然であり、

日本における民主主義とは、
すべての思想的行動を排除するということに堕落してしまった。

そして現在では
自分の思想さえ選べないという不毛さが
社会に瀰漫(びまん)しているのである。

    

--アメリカがナイロンを売りたいために、麻製品を排除した歴史。

『ナイロンや石油化学繊維を売り込みたい石油化学産業にとっては、
大麻がじゃまになったのです。』
『アメリカ本国における石油化学工業の勃興と大麻に対する弾圧が、
戦後の日本にも、そのまま適用されたわけです。』

ナイロン⇒麻NG、牛肉⇒鯨NG Not Again!

ネガティブキャンペーンと共に、
日本人が日本人を辞め(させられ)ている現状。

コストがかかるから検査はしないが、問題ないから黙って牛を買え
←ジョークみたいで笑いつつも(現実なので)
日本の風土に合ったものを取り戻し、
ムリに接ぎ木されたものは ソッと手放す時期と感じます。

★     ★     ★

国富消尽』 以下抜粋

吉川元忠氏

グローバリズムというのは、

基本的にアメリカの都合から出てきたものです。
(正確にはアメリカを羽交い絞めにしている世界支配層から出てきた)

というのは、アメリカは赤字で、自分の国だけでは食えないからです。

グローバルにいろいろなところに
手をのばさなければやっていけないわけです。

企業価値とは、
その企業の株式の時価総額であるというのが、
グローバリズムの考え方です。

これは企業を売り買いするのに便利なように、
企業の値段をはっきりさせようという
アングロ・サクソン的な発想であり、
要はM&Aをやりやすくするための、
アメリカの都合に基づいているのです。

時価総額をイコール企業価値だといって絶対視する風潮に、
私は疑問を持たないではいられません。

会計制度の問題でも、
時価会計とか減損会計というアングロ・サクソンのルールを、
日本は不況の最中に導入しました。

これも結局は、
M&Aのために企業価値をはっきりさせろということですから、
本末転倒というしかありません。

これ以上、アメリカの都合に振り回されないためには、
アングロ・サクソンの価値観を
無批判に受容することをやめなければなりません。

たとえば企業社会で本当に大事なものは何か、
何が本当の価値なのかということを、
日本人自身が考えていかなければならないと思うのです。

迂遠(うえん)な話をするなら、

結局は思想の問題であって、
アメリカに対抗できる思想体系を
日本は持たなければならないと思います。

哲学や思想、そして『万葉集』や『源氏物語』といった
文化から民族の歴史までをも含めた巨大な思想体系、

あるいは経済思想の体系がなければ、だめだと思うのです。

もう少し一般的なことを言うと、
世界は大変な変わり目を迎えているという認識を持った上で、
戦略を立てる必要があります。

このままアメリカモデルを受け入れ続けて、
どんどんグローバル化を進めていった場合、
日本はアメリカの亜流のような国になるでしょう。

それでいて、バックス・アメリカーナ自体が相当問題を抱えていて、
とくに通貨の問題は深刻です。
日中というと対立関係だけが目立つけれど、
共通の利益を模索しようという考え方まで排除すべきではないと思います。

国際政治学者のジョセフ・ナイは、
自国の価値観を他国にとって望ましいと感じさせ、
協調を生み出す力を「ソフト・パワー」と呼んでいます。

日本のソフト・パワーは何かというと、
それは半導体やデジタル技術などではなく、
先ほど言ったように、最後は思想だと思うのです。

グローバリズム一辺倒の今、
それに対する対抗軸となるような思想を構築しようとしている人が、
世界的に見ればいるようですが、これは大変難しい。

でも、誰かがやらなければ、
アメリカ流のグローバリズムに世界は呑み込まれてしまいます。

日本がアジアに訴えるにしても、
最後はそういう思想が問われることになると思うのです。


    

TV(アホ)な仕組み  

森田実氏 時代を斬る 2007,05,26 以下抜粋

日本のテレビメディアを堕落させた最大の責任は、
自民党政権(現在は自公連立政権)と電通にある、
と言っても過言ではない。 

電通のブッシュ政権、小泉・安倍自公連立政権への追従、
日本国民総愚民化政策がテレビ局を堕落させている。


テレビ局側も、スタッフに電通のイエスマンを揃え、
電通好みの視聴率を取れる、
日本人の正常な常識と倫理観を破壊する
不道徳番組づくりに精を出している。


このテレビを
家庭の主婦、高齢者、青少年・幼児が朝から晩まで見続けている。


これが、日本の内面からの崩壊の最大の原因である。

電通の罪は限りなく重い。

    

日本はドイツとともに、資本主義体制を取りながら、
株主の力を排除して、少数のマネーの支配者だけではなく、
一般の社員や地域社会など
多くの人々が平等に生活レベルを向上出来るシステムを作り上げてきた。
このシステムは、経済成長の面でも大成功したために、
途上国なども導入するようになった。


危機感を強めたウォール街を縄張りとするマネー支配者たちは、
なんとか日本型経済システムを失敗させようと、


構造改革〕というを用意した。

彼らの”日本支局”が、円の支配者である”日銀”というわけだ。

    

松浦元男氏 ”人間を大事にすることで会社を守る”