ローンの支払いがあるうちは 「家」=「銀行のもの」
『カネに勝て!』 続・土壇場の経済学 青木雄二&宮崎学
以下 宮崎学氏
カネというものに対するリアリティ感覚が 極端に欠けてきている
その典型が 住宅ローンだ。
これは、家を買っているのではない。
銀行と、「その家に住んで良い」という契約をした”だけ”であって、
家そのものは「銀行のもの」だ。
登記簿謄本を見てみればいい。
所有者は家を買った本人になってはいるが、
抵当権者は、銀行である。
抵当権とは、所有者が返済できないときには
物件を取り上げられる権利のことで、
この権利は”いつでも”行使できる。
抵当権者が、家の本当の持ち主だからだ。
★ちょっとブレイク★ 2008年の今★
対岸の火事どころではない!
すでに「日本版サブプライムローン」が火をあげている
'08,02,12 ライター仁氏 以下抜粋
98年秋に年利2.0%という史上最低の金利で
旧公庫の住宅ローンを組んだ債権者の金利が
一挙に4%程度にあがる10年目に当たる
石川和男氏の論考
『旧住宅金融公庫の「ゆとりローン」利用者の金利が大幅に上昇し、
支払い不能におちいり 今後国内では破綻が続出しかねない』
そもそも この問題が起こったのは住宅ローンの緩和策にあり、
政府の失策によるもの。
この施策により多くの持ち家世帯が誕生した。
まさにアメリカのサブプライムローン問題と うり二つで、
本来なら住宅が持てない層が住宅を取得することになった。
『日本版サブプライム危機』←対策付き
石川和男氏 生駒雅氏 冨田清行氏 抜粋
男性労働者のうち月収20万円未満の割合(税引前の給与)
5年前と比べて、どの年齢層においても その割合が増加している
人数にして約84万人
将来の賃金上昇の展望が描けない-家族を抱える世代
参照:非正規労働者比率
ノンリコースローンの本質は、貸し手側も一定のリスクを負担する
∴担保である住宅の評価額いっぱいに貸すこともなくなる
⇒無理な借り入れをしないように助言していくことに繋がる
現状の日本の金融慣行では、
貸し手である金融機関が 一方的に有利
リコースローン(遡及型融資) re・course loan
遡及(そきゅう)=過去にさかのぼって影響・効力を及ぼす
PLUS
銀行は貸さないと商売にならない
そこで、年収に占めるローン返済金額を緩(ゆる)めた。
⇒手取り収入の50%以上がローン返済に充てられることを容認
PLUS
経済環境が変化しているにもかかわらず
逆に、住宅ローンは一層 拡大されている。
右肩上がりで成長していたバブル末期の二倍を融資
∵バブル崩壊後の景気回復を《住宅融資》を通して実現
景気は停滞したまま-- 個人にツケが回っている。
★ ★ ★
ローンの支払いが完了するまでは 「家」は「銀行のもの」
購入者は カネを払って 住まわせてもらっている「だけ」
だから、返済が滞れば、即 叩き出される。
賃貸に住んでいるのと 同じこと なのだ。
家を買って抵当権を設定するというのは 本来 金持ちがやること
金持ちの豪邸にも 抵当権がついている場合が多い。
だが、これは つけられているのではなく
あえて 自分でつけている-- たとえば、相続税対策のために
知り合いの会社から 家を担保に多額の借金をしている「形」にする。
物件に ”あえて”傷をつけることで、相続税の評価を下げて
税金を踏み倒すわけだ。
貧乏人のつけられる抵当権は まるで別物
実行されれば それで終わり。
その結果、家を取り上げられるのを「恥」として
夫婦喧嘩の果てに 離婚 (等) する者が増えているが、
抵当権のついている家を
自分の家のように思うことこそ「恥」ずかしいことなのだ。
そんな恥ずかしい思い込みで、離婚や(○▽○)するのは
恥の上塗りにすぎない。
これは、家をめぐって離婚した身として あえて言っておきたい。
この家は 銀行の持ち物であって
自分たちは 銀行にカネを払って
住まわせて貰っているだけであることを
しっかり 認識しておくことだ。
この認識のあるなしで、住宅ローンのトラブルが起こったときの
心構えや 対応の仕方が まるで違ったものになるからだ。
★ ★
銀行マンは ヤクザより タチが悪い
バブルの時代に 「地上げのメッカ」といわれた神田神保町で
地上げ屋をやっていたときのこと...
住友銀行が嫌がる土地持ちの親父をだまして
1フロア100平米 9階建てのテナントビルを建てさせた。
銀行の作った理屈は
「賃貸料は1平米5万円、ひと月の家賃収入は4500万円。
そしたら毎月100万円が手元に残り、
なおかつ 返済できるじゃないですか」だった。
ところが、今の1平米当たりの家賃は8000円。
土地持ちの親父は とっくに 破産 した。
同じような手口で銀行に騙された神田神保町の土地持ちたちも
すべての資産を銀行に取り上げられて、とうの昔に破産している。
悪いのは、無茶な事業計画を作って 無理に貸し付けた銀行である。
当時は バブルの末期で、もう 地価の高騰は無い と、
関係者の誰もが わかっていた。
だのに、銀行は 嫌だという者にまで 無理矢理 貸し付けて
破綻 させたのである。
それを現場で見ていて、
「銀行マンはヤクザよりタチが悪い」と思ったものだ。
その銀行が、生き残りを賭けて
住宅ローンと消費者金融に血道をあげている。
だが、やっていることは バブルの時代と なんら 変わっていない。
住宅ローンを組むのもいいだろう。
だが、銀行のそんな正体と、
土地や建物の価値は 決して普遍的なものではないということを、
しっかり認識しておくことだ。
その上で、イザとなれば 開き直ればいいだけのことだ。
★ ★
返済条件の変更メリットは 少ない
住宅ローン危機の切り札のようにいわれている返済条件の変更、借り換え--実際のメリットは少ない。リスケジュールで月々の返済額を大幅に減らせるといっても、返済期間を延長することで 最終的な総支払額は アップする。金利が1%低いローンに切り替えらるといっても、そのことで減額できた金額に相当するほどの経費がかかる。たいした減額効果はない。
その反面、銀行などの貸し手のメリットは大きい。
何よりも ローン破綻予備軍を延命させて
ローンに縛り付けておくことができ、
貸し倒れ、踏み倒しを防ぐことができる。
要するに、銀行の手の内の話なのだ。
返済が無理なら、あえて 競売へ持ち込め
だから、ローン返済が難しい場合は あがいたりせずに、
支払いをストップすればいいのだ。
銀行としては 踏み倒されるのが一番困るのだから
開き直って「失業したから、しばらく払えない」と言えば
困った顔はしても、「利子だけでも入れてください」となるはずだ。
仮に、抵当権を行使されて 追い出されたとしても、
もともと バブルの頃に高値でつかまされたり、
詐欺にひとしい「ゆとり返済」で だまされたり、
94年頃に 「地価は底値を打った。住宅ローンは 今が買いどき」
と煽(あお)られて 押し付けられたりしたケースが多いはずだ。
そんなものを払い続けるよりも、いったんすべて清算して
また 新たに買いなおせばいい。
ただし、こちらから家を飛び出すのは禁物だ。
叩き出される時期を できるだけ引き延ばして
その間に 現金をため-- 賃貸に移ればいい。
もちろん、競売にかけても ローン残債が千万円単位で残るはずだが、
そんなものは 無視 すればいい。
競売までいった債務者から取り立てられるなどとは銀行も考えてないし、
取り立てる能力もない。
それに、焦げ付いた不良債権は損切りしたほうが
銀行にはメリットがある。損金で処理すれば、
その分、税金が安くなるからだ。
だから、借り手もこちらから不良債権を損切りしてやればいい。
10年前に数百万の頭金を入れてローンで買った5000万の物件なら、
ローンの残債は まだ4000万ほどあるはずだが、
これには金利がかかるから、最終的には7000万円を超えるカネを
支払うことになる。この借金が チャラ になるのだ。
サラリーマン受難時代に、住宅ローンのような大きな重荷を背負って
坂道を上るのは、危険すぎる。
支払いに詰まったら、競売という 国のシステムを逆手にとって
さっさと清算して 身軽になることだ。
どうせもともと 銀行の持ち物に住まわせてもらっていただけなのだから、
借金ごと 銀行に お返しすればいいのである。
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★ 銀行が債権放棄した一例 PDF
「95年度から2000年度まで6年間に債務免除益を計上した38社」
免除益の累計は3兆213億円に達している。
1位は熊谷組 住友銀行を中心とする金融機関から4300億円。
2位の日貿信は、3922億円の債務免除。
3位の長谷工コーポレーションは3545億円の債務免除益を計上した。
以下、藤和不動産(債務免除益2871億円)、トーメン(同2190億円)、
青木建設(同2049億円)と続いている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
以下 青木雄二氏
住宅ローンは「給料もボーナスも減らない」を「前提」に 成り立つ
その給料、ボーナスが長期的には確実に減ることが必至である上に
いつリストラされるか分らない時代-- 破綻して当たり前なんや
⇒想起:サブプライムローン:
「住宅価格が上昇し続ける」を「前提」に成り立つ --共通項--砂上の楼閣 --お為ごかしに乗せられて《白人の4分の3は持家がある-- 有色人種は半分にも満たない--皆にアメリカン・ドリームを!》
⇒ ロイター '08,07,25
「現在米国では、毎日8000件の物件が差し押さえられている。」
「いざとなったら売れる」は 大間違い
日本の中流向け住宅の質は、欧米などに較べて格段に質が劣る。
住宅の平均耐用年数は 米国44年 英国75年だそうだが、
日本は26年。しかも、20年超えると 建物の市場価値はゼロになる。
住宅ローンに最大のリスクは、たとえ無事 支払い終えたとしても
老後の資産として無価値の家しか残せないことや。
さらに 担保割れの問題がある。
持家がスティタス(status 社会的地位)になるのは 現金で買った場合
京都では、ローンで家を買った者のことを
「カネもないのに、人のカネで家を建てた」と悪くいう。
京都人にとって「家を建てる」とは、一生懸命カネ儲けをし、
その現金で 2、3代後にも資産価値が残る家を建てること。
借金で、しかも20~30年で資産価値のなくなる家を買うなど、
貧乏人と田舎者の 愚かで恥ずかしい見栄 と映るわけや。
京都は一番歴史の古い都市社会だから、万事につけ
モノの見方が意地悪なのだが、京都に限らず、ローンの家は
こういう見方をされるものであって、スティタスなんかではない。
★ちょっとブレイク★日本の住宅が短命な理由★
『知ってはいけない?!』 船瀬俊介氏 以下抜粋
日本人の9割が ビニールハウスの住民
”布”に化けたビニールの壁=塩ビクロス
家を建てるとき、業者は「壁はクロス仕上げにしましょう」と言います。
”クロス”とは、”布(cloth)”のことです。
ところが、壁や天井一面に貼られたのは よく見ると”ビニール”
塩化ビニールクロス⇒ビニールクロス⇒クロス と略されました。
日本の住宅は、戦後、「木」ではなく「石油」で建てられた
石油化学製品まみれ--その代表格が”塩ビクロス”
塩ビクロス
①化学汚染--シックハウス
合成ノリで貼られ、配合された有毒防腐剤ホルムアルデヒド等が揮発
②結露--日本は湿気が多い。部屋を”ビニール”で覆うと
結露--断熱材、柱、梁などを湿らせ、腐らせる
③生物被害カビ・ダニ・シロアリ--喘息、アトピー、アレルギーの元凶
結露、湿気、適温で木材を栄養源に大繁殖 (↑PLUS 合成洗剤 他 資料)
《対策》 本物の壁紙、壁布、壁材で仕上げる 伝統和紙の壁紙もある
★ ★ ★
一番の防衛策は、極力 借金をしないことに尽きる。
3000万の住宅ローンを組む ということは
それに対する金利が 2100万として
トータルで5100万円もの借金を背負うことになる。
一方、賃貸派は 基本的に 家にかかわる借金はゼロだ。
今の時代は 借金の重荷を負うことを極力避け、
どんな危機にも対応できるように
身軽でいることが何よりも大事なことだと思う。
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アメリカ Tent City 問題に触れて... comment
Do you really think it cost $500,000.00 to build a house....NOT!! if they charged "Actual value" for the property then I think most people could afford a home...I used to do construction and it cost us $50,000 - $80,000 to build a nice "SFH" Single Family Home. So WTF with 1/2 Million $ shacks...
永遠に金利を払い続ける「上客」 詳細 負債としてのお金
"Anyone who believes exponential growth can go on forever in a finite world is either a madman or an economist."...Kenneth Boulding, economist 《 Money As Debt 》 日本語字幕
旧約聖書 レビ記〔Leviticus 25〕
Do not take interest of any kind from him, but fear your God, so that your countryman may continue to live among you. You must not lend him money at interest or sell him food at a profit.
THE BANKERS' MANIFESTO The Nizkor
Capital must protect itself in every way ... Debts must be collected and loans and mortgages foreclosed as soon as possible. When through a process of law the common people have lost their homes, they will be more tractable and more easily governed by the STRONG ARM OF THE LAW (Cops) applied by the central power of leading financiers. People without homes will not quarrel with their leaders. This is well known among our principle men now engaged in forming an imperialism of capitalism to govern the world. By dividing the people we can get them to expend their energies in fighting over questions of no importance to us except as TEACHERS OF THE COMMON HERD.
(Taken from the Civil Servants' Year Book, "The Organizer" Jan. 1934.)