アニミズムとテクノロジーが共存する魅力にドキッ!
『ことばと自然』 鈴木孝夫氏 C.W.ニコル氏 以下抜粋
自然が神の道を教えてくれた宗教
古代ギリシャでも同じです。
神の存在は、草にも 動物にも表れている、すべてに神が宿っていると。
そういう意味で、日本だけが素晴らしいんじゃなくて、
キリスト教を中心とする一神教がこの世界に出てくる以前は、
人類は何百万年もの長い間、多神教であり、アニミズムであり、
汎神論(はんしんろん=万有に心があるとする説)pantheismであった。
一神教的発想が出てきたのは、人類の歴史からいうと、せいぜい2千年、
エジプトの太陽信仰の一神教を入れても3千年ぐらいという、
ほんとに最近のことなんです。
それ以前の古代は、日本もインドも中国もギリシャも
全部 アニミズムがあったんです。
イスラムの聖地のメッカにあるカアバ神殿の中には、
黒い石があるんですよ。
アラビアの巨石信仰をイスラームが取り込んだ。
ですから石を崇(あが)める、山を崇める、湖を崇める。
これが近代社会で残っているのが日本なのです。
ヨーロッパもかつてはみんなあったんだけど、
それをキリスト教が圧殺したんです。
ヨーロッパには、touch wood っていう、たとえば縁起の悪い話をすると、
木の製品にさわれば祟(たた)りがこないというお祈りがあるんですね。
ケルトにもあるでしょう。だから、ヨーロッパでも人々の心の中には
古いものが脈々と生きているんです。
しかし、表に出すと、それはキリスト教ではいけませんというふうになる。
でも本当はね、
人間は森、動物、すべてとつながっているっていうことじゃないか。
そしてそれが近代のモダンなテクノロジーと共存して生きている
唯一の文明国が、日本だと思うんですよ。
ニコル氏
ケルトの宗教は、神道にすごく近いですね。自然の中に神がいる。
今のイギリスもキリスト教が入ってくる前はケルトの多神教文化だった。
それが日本の縄文文化とよく似てる。
だからイギリスは、いざとなれば復元力が働くんじゃないかと、
僕はまだ希望を捨てていない。
ところが、いまアメリカがものすごく危ない道を突き進んでいる。
ブッシュは原理主義クリスチャンですよ。
このままだと近未来に恐ろしい戦争があります。
Christian versus Islam. 宗教戦争が起こります。
鈴木氏
ブッシュなどは彼らの考える神様の意志の地上における代理執行者として、
自分が神の命令で動いていると考えているわけですよ。
原子力の問題にしても、
大量破壊兵器の問題にしても、みんなの生き方にしても、
アメリカ人が正しいと思うことをしなければ攻撃するっていうでしょう。
核兵器をインドやパキスタンが持つ、中国が持つ...
たしかに危険かもしれないけれど、
それならばいちばん桁外れに持っているアメリカがまずやめなければね。
いちばん核兵器を持っている国がよその国に向かって、
”お前やめろ”っていうんだから。
ニコル氏
1999年にカナダで独立州(ヌナブトNunavut)が出来たんです。
ヌナブトはアラスカとテキサスを合わせたより大きいイヌイットの州なんです。
言葉は英語とフランス語とイヌクティトゥト。
イヌクティトゥト(Inuktitut)は、
チュクチからグリーンランドまで広い範囲の古い文化と言葉で、
それを北アメリカの公用語にしたんですね。
その独立の式典、日本から行ったのは私なんですよ。
高円宮妃殿下(たかまどのみや・ひでんか)が
行きたいと思っておられたんだけど、外務省が止めたんですよ。
日本にもはねかえってきて、
北海道は全部アイヌに戻さなくちゃいけなくなるとか心配したのかもしれない。
鈴木氏
今の外務省なら考えそうなことだね。
ニコル氏
ところがこの独立州が出来るのに、暴動がひとつもなかったんです。
ぜんぶ平和に、ぜんぶ話し合いで。これは素晴らしいことだと思う。
イヌイットはアジア系ですよね。なぜ日本はもっと、よくやった、おめでとう、
カナダもよくやってくれた、ありがとう と言えないのか。
外務省の人は誰一人来なかったんですよ。
司会
マスメディアも報道してないでしょう、 ほとんど。
鈴木氏
日本は時の首相はじめアメリカと結んでいるから、
アメリカのご機嫌を損ねるようなインディアンの問題や、
カナダのインディアンや、イヌイットの問題には触れない。
ですからね、アジア人でありながら日本人は、広い意味でアジアの人から
白人だと軽蔑されるわけです。日本人のあだ名はバナナでね、
顔はモンゴロイドだから黄色いけど心は白い。
つまり日本人は白人になりたがってる、
自分がアジア人であることを呪ってる、
つまり非常にアィデンティティに危うさを持った、
アイデンティティ・クライシス(Identity Crisis)を持った民族だ、
というのが私の意見です。
しかし考えてみると日本人は、
過去何百年にわたる大英帝国(British empire)や
白人の全世界制覇を押し戻した唯一の非白人国なんだから、
もっとアジア・アフリカの人と連帯して世界のバランスをとっていくべきです。
これは生物学的な多様性という意味でも必要なんですよ。
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★シオンの議定書 第十三議定
厄介になるかも知れない連中に
政治の諸問題に首を突っ込ませないようにするのに、
われわれは政治に代わるものを熱心に勧めている。
政治に代わって何か没頭できるものがあれば、
群集は政治活動の類いから手を放して一服することに異存はない。
彼らが かかずらうことを解き当てさせないように、
われわれは娯楽、競技、ゲーム、色事、遊び場をあてがって、
更に政治から遠ざける……
そのうち、われわれは新聞を使って芸術、スポーツなど
ありとあらゆる種類の競争を始める。
こういうことに関心が向けられれば、
われわれが彼らと争わなければならない問題から、
彼らを完全に遠ざけるだろう。われわれの王国が実現した暁には...
★ ★ ★
ニコル氏
僕の願いは、狭くて浅いナショナリズムは越えていきたいし、
越えていかねばならないということ。
ケルト系日本人としては強くそう願っています。
国を愛するというのは
本来その国土のすべての生き物、自然、そして言葉と文化を愛し、
そこに生きる人たちの無事と幸せを強く願うことでしょう。
そう強く願えば願うほど、それは同時に、
この地球上にあるほかのすべての国々の自然や文化、
言葉への敬意と愛につながっていくはずだと思います。
鈴木氏
狭いナショナリズム、
日本は愛するけれどもほかは関係ないっていうのを、
非常にわかりやすくいえば、
自分の家は掃除する、玄関前は掃除する、
けれど外の道はしないよ、
あるいは外にはゴミを撒き散らすよ、ということでしょう。
日本の鳥、獣、自然をわれわれが愛するなら、
韓国、中国、そしてイギリスの動物も大切だというところまで行って欲しい。
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アニミズムとテクノロジーが共存する魅力にドキッ!