学校教育って、一体誰のため?
塾・予備校に通わないと受からない受験システムが子供の肩にのしかかり、
高い教育費が 家計を苦しめている
(年収400万未満世帯の在学費用は年収の49.2% 図10参照)。
遺児母子家庭の平均勤労年収は、
98年の200万円から145万円に落ち込み、
生活保護の母子加算廃止方針が この窮状に拍車をかける。
ヨーロッパでは、卒業資格試験に合格すれば
自動的に大学入学資格を得られる。
つまり、大学へ入学するのに塾・予備校へ通う必要性が無い。
大学に入っても、基本的にどこも無料
(社会で負担しようという考え方)だから、
「母子家庭」だろうが「親がリストラにあった」からと言って、
希望を捨てる必要は無い。
もしも、本気で子供のことを考えるなら、
子供が自由に発想を広げる場=『考える力』
『情報選択能力』を伸ばす授業に変え、
『暗記主義・点数による序列化重視』を改めるはずだ。
卒業資格試験を導入すれば、受験に特化した勉強を
別枠で設ける必要もなくなり、学校独自のカリキュラムを組める。
高等教育での公費負担の割合 TABLEB3-3 PDF25
2000年 OECD 平均 80.2%
1位からギリシャ、デンマーク、フィンランド、オーストリア、
ノルウェー、トルコ、アイスランド、ポルトガル
9位ドイツ91.8% スロバキア スエーデン フランス85.7% (略)
イタリア77.5% (略) スペイン74.4% (略) イギリス67.7%
ワースト3は 韓国23.3% アメリカ33.9% 日本44.9%
2003年 日本を見ると39.7% 下がってる!
韓国23.2% アメリカ42.8% ワースト2になった。
学費・給食費・教材費無料の国がある一方で日本の親御さんは大変だ。
「給食費未納問題」で、
「社会保障削減問題」「大企業大幅減税問題」を棚上げにして、
未納者吊るし上げに国民が踊っていれば、政府は楽だ。
しかし国民も政府も、
本当に家計が苦しい家庭の子供達の首を
さらに絞めている現実には 無関心なままだ。
踊らされて、弱者叩きに夢中になればなる程、
日本の未来が霞み 沈む。
スーパーサイエンスハイスクールで一部の子供達に教育費をかけ 将来、
金にならない教科は切り捨てている。「いかに生きるか」なんて考えるな。
「いかに稼ぐか」だけ考えて生きろ と言われているようなものだ。
鶴見俊輔氏 『戦争が遺したもの』 以下抜粋
「人間を成績ではかっちゃう人間は、”つくられた人”なんだ。
自分で考える力はないんだけど、学習がうまい。
だけど教わっていないこととか、
試験に出ない範囲のことが出てきたら、そのまま溺れちゃうね。
学校に試験で入って欧米の知識を並べて話せる人間が
権力の座につける仕組みが出来た。
するとみんな知識人になろうとして、試験で模範解答を書こうとする。
先生が思っているとおりの答えをうまく察して手を挙げて答える。
そういう”知識人”がどんなにくだらないかということが、
私が戦争で学んだ大きなことだった。」
宇井純氏 『この国のゆくえ』 以下抜粋
「生産優先、権力奉仕のための学問が東大では教えられてきた。
私自身の経験を振り返ってみても、
確かに生産のために必要な勉強はしたけれども、
人間を優先する教育はほとんどなかったことに気づく。
戦後、多数派は
あまりにも自己の利益だけを追いすぎたのではなかろうか。
その結果、生じているのが二極分解と全体主義化の恐れであり、
”鯛と組織は頭から腐る”という言葉があるように、
私の生態学の体験からも、生態系全体が崩壊する時には、
実は強者から潰れていくのである。
いま、”勝ち組”といわれて、この世を謳歌している連中のほうが
むしろ早く生態系の崩壊を身に受けるだろう。
この事態を誰かのせいにする前に、
足元に目を向けて見る必要がある。」
母子加算廃止””児童扶養手当大幅削減”とは、
”最低生活保障として手をつけてはいけないところを削る”ことを意味する。
新自由主義者による「小さな政府」行き着くところの
「弱肉強食 格差社会」からは、
”人としてあるべき姿” が全く見えてこない。
生存権と国の社会的使命について 憲法第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障
及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。