一緒で幸せ--「布施」の心


ひろさちや氏『般若心経入門』 以下抜粋

「布施」(ふせ)というのは、簡単に言えば

人に 財物・金銭を 施(ほどこ)すことです。

あげる ことです。

しかし、「布施」と「お恵(めぐ)み」は 違います。

「お恵み」は、貰(もら)った人が お礼を言わねばならないものです。

「布施」は、施(ほどこ)した人が お礼を言うものです。

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一つのケーキを 2人で分けて食べて、

そのほうが おいしい と思える心-- それが 布施の心です。

どうすれば、そのような心になれるでしょうか?

簡単です。


わけてあげた人が、相手に、

「あなたが一緒に食べてくださったので、

おいしくいただくことができました。ありがとう」

と お礼を言えばいいのです。


そうすると、ケーキは必ず おいしくなります。

おいしくなる ということは、幸福になれる ということです。

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もちろん、2人にケーキが二つあれば、

それぞれ 一個ずつのケーキを食べると おいしいのです。

ところが、

2人の人間に ケーキが10個あるとしてください。

2人はそれぞれ 5個ずつのケーキを食べねばなりません。

ねばならない のです。



私たちは 経済大国 を作りながら、

何か精神的に 満ち足りない気持ちでいます。

その原因は、心のところにあるのです。

経済的に豊かになれば、むしろ本当の幸福がわからなくなる

--私は そう確信しています。

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『 般若心経(はんにゃしんぎょう) 』 は

本当の幸福は、「布施の心」を持つことによって得られる

--と、われわれに 教えてくれています。

みせかけの幸福ではなしに、
真の幸福とは何かを語っているのです。

その意味で、『般若心経』は、
現代日本人にとって 大事な経典です。
まさに 「現代的」な経典だといえます。
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